担当していた本が出ました。日本語で読めるgitの本としては最初の1冊じゃない かと思います。これを書いている時点でまだ数日しかたっていませんが、売れ行 きも好調なようで、うれしいです。
『入門git』
Travis Swicegood著 でびあんぐる監訳
http://ssl.ohmsha.co.jp/cgi-bin/menu.cgi?ISBN=978-4-274-06767-9
http://www.amazon.co.jp/dp/427406767X
原書:
Pragmatic Version Control Using Git
by Travis Swicegood
http://www.pragprog.com/titles/tsgit/pragmatic-version-control-using-git
一言で言うと、コンパクトなgitの入門書です。著者が知っていることが際限なく 書かれているのではなく、よく吟味して簡潔に書かれています。gitの入門者が最 初の一歩を踏み出すときに必要な知識、そしてgitを手元で日常的に使うために必 要な知識が、十分にまとまっていると思います。また入門とは言いつつも、1章分 をGitosisのために割いていたりするので、これ一冊で結構な範囲をカバーで きるんじゃないでしょうか。
丁寧なレビューと監訳のおかげで、技術的な正確さと読みやすさが両立した文章 になっているほか、日本語版独自の内容としては、原書になかった図版(主にコ ミットの関係を示すグラフ図)が追加されたり、日本語環境での注意が加わった りしています。TortoiseGitも少しだけ紹介されてますね。
でびあんぐる名義で今回監訳していただいたのは、武藤健志さん、 鵜飼文敏さん、八重樫剛史さん、後藤正徳さん。 レビュアはやまだあきらさん、角谷信太郎さん、 Leonard Chin(レオ)さん、そして名前は出ていないけれども 松田明さんにもご協力いただきました。ありがとうございます。
監訳陣の仕事ぶりを思い出してみると、鵜飼さんと後藤さんは安定した調子で端 から仕上げていき、八重樫さんと武藤さんは問題が生じている箇所を見て回り対 処するという感じだったように思います。レビュアからいただいた指摘や提案は 武藤さんが交通整理をして監訳陣で消化し、武藤さんがDebConfに発った後は八重 樫さんがバトンを引き取ってアンカーを務める、というような進行でした。いつ もながら、それぞれの仕事が確実で、役割分担が見事でした。
レビュア内でも役割分担が自然発生して、やまださんはDebian / Rubyのベテラン として、角谷さんはご本人曰く「git厨」代表として、レオさんはRuby / Rails方 面に通じたマルチリンガルな技術者として、強みを発揮したレビューをしていた だきました。
装丁はトップスタジオデザイン室の轟木亜紀子さんにお願いしました。実は今回 の写真は金属の光沢が安っぽくならないか心配で、私自身は同じモチーフで光沢 のない写真を推していたんですが、カバーの表面加工をマットにしたらいい感じ になったので、無理に推さなくてよかった。見返しとタイトル文字の色を合わせ たのも良かったですね。
版元側の担当者は、T様、Sさん、そして私でした(偉い順)。私は主に企画と人 選で意見を出したくらいで、あとはほぼお任せ。たまに小舅っぽく口出しして嫌 がられる係といったところ。
技術面では、いつものようにSubversion, xml2tex, Trac, CC.rb, QuickMLなどを 使って、レビューと編集を短いサイクルで繰り返して漸進的に完成度を高めていく、 反復型の編集制作をサポートしました。なお中央リポジトリはSubversionでした が、関係者の多くは手元でgitなどのDVCSを使っていたのではないでしょうか。
大きなトラブルなしに済んだので面白エピソードの類はないのですが、トラブル がなかったことは素直に喜びたいし、それこそが今まで信頼できる人たちと協働 し道具や方法を改善してきた成果なのかなと思います。
簡単な振り返り:
-
Keep:
良いメンバー、良いチーム、良い道具立てで仕事をする。 -
Problem:
トラッカーをレビュアからのフィードバックにも活用してもらおう。 -
Try:
次回以降も、今回の安定度をベースラインにしたい。
というわけで、気に入ってもらえたら、裏方の一人としてうれしいです。
今後も翻訳・書き下ろしともに、意義あるタイトルを適切な人選でお届けすべく、 いろいろな方にご協力いただきながら準備しています。この『入門git』と同様に、 たくさんの人に読んでいただけるといいなと思います。
内容や位置づけについては鵜飼さんのレビューが的確。
ukai’s blog: 入門git
http://blogger.ukai.org/2009/08/git.htmladvancedな内容はあまり書かれてませんが、入門として読むのには最適では ないかと。
そのとおりだと思います。
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