『コンピュータソフトウェア』誌の11月号に、IdeoTypeの紹介記事を掲載してい ただくことに。一般の人にも分かるように説明した、6ページほどの短い文章。
JSSST Journal: Computer Software
学会誌『コンピュータソフトウェア』
http://www.jssst.or.jp/prod/computersoftware.html
高品質な書籍を簡単に制作するための出版支援ソフトウェア: ブックコンパイラIdeoType
コンピュータソフトウェア Vol.26 No.4 Nov. 2009 日本ソフトウェア科学会
IdeoTypeというのは、人間が比較的読み書きしやすい原稿(XHTMLに軽く拡張を加 えた形式)から、商業印刷に使えるようなデータ(PDFの一種)を生成するソフト ウェア。オープンソースソフトウェアで、開発も公開の場で行っている。
IdeoType: A Book Compiler
http://ideotype.org/
これを作った動機は、出版社で編集者としてしばらく働いてみて、既存の編集制 作方法には改善の余地があると感じたこと。改善すれば、もっと簡単にいい本を 作れるはず。
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まず前提:
良い文章を書くには、見直して書き直すことが有効。著者が仕上がりを見な がら何度も原稿を書き直せれば、品質が良くなる。
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そして問題点:
でも、既存の編集制作プロセスでは、レイアウト作業にいわゆるDTPソフトを 使って人手で処理している。DTPソフトは、取っつきやすい反面、人手で操作 するのでやり直しのコストが高い。いったんレイアウトされてしまってから は、大幅な書き直しは御法度となる。
一方、既存の自動組版システム(LaTeXやXSL-FOプロセッサなど)の多くは、 何度でもやり直せるけれど、普通のDTPソフトと比べて習得するのが大変。
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私たちがとった解決策:
であれば、扱いやすいけれども書き直しに向かないDTPソフトと、書き直しに 向くけれども扱いが大変な自動組版システムのギャップを埋める、それなり に扱いやすくて自動で組版してくれるツールがあればいいんじゃなかろうか。
それがIdeoTypeを作った動機。
ちょど未踏を終えた後(2008-05..2008-11ごろ)に書いた記事だけれど、問題意 識は今も変わらないので、興味がある人には読んでもらえたらいいなと思う。
紙版は岩波ブックセンターほかで手に入る。 電子版は、数ヶ月したらこのあたりで読めるはず。
JSSST : コンピュータソフトウェア
http://www.jstage.jst.go.jp/browse/jssst/_vols/-char/ja
CiNii - コンピュータソフトウェア
http://ci.nii.ac.jp/vol_issue/nels/AN10075819_en.html
周りがちゃんとした論文なので場違いっぽいけど、エンドユーザコンピューティ ングの一例と捉えてもらえれば幸い。
文中で「次期バージョン」として触れているIdeoType 0.2は今年の半ばに完成し て、今ちょうど仕事で使っているところ。年明けには成果である書籍が書店に並 ぶ予定。そのうちPDFだけでなくePubやMobiも出力できるようにしたいなと思って いる。
執筆の機会を与えていただき、担当編集者として丁寧に指導してくださった伊知 地先生に、そしてアドバイスをくださった美馬先生に感謝。良い編集者のありが たさが身にしみて分かったのも、今回の大きな収穫でした。
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